サイフォンの歴史
BIO
Syphon / Siphon
サイフォンの起源
コーヒー抽出器具としてのサイフォン(Syphon 又は Siphon)は、1830〜1840年頃にドイツまたはイギリスで風船型のサイフォンが考案されたのが始まりとされ、現在で約192年ほどの歴史があります。1840年にイギリスのジェイムス・ロバート・ネイピア(ロバート・ナピアー)が考案した説が一般的ですが、それ以前からヨーロッパ各地で使われていたとされるなど、正確な起源は不明です。
サイフォンには(1)ガラス風船型、(2)ナピアー式、(3)天秤式(左図)の3つのタイプがあり、現在一般的に流通しよく見かけるサイフォンはガラス風船型サイフォンにあたります。
長い歴史があるからこそ、エスプレッソやドリップ式同様、コーヒーの主要な抽出方法のひとつとして知られていますが、普及率は他に比べると限られており、伴ってこれに携わる人(サイフォンのプロ)も、サイフォンを召し上がることができる機会も少ないのが特徴といえます。
サイフォンという名称
サイフォンは「サイフォンの原理」で抽出する器具だと誤解されがちですが、厳密にはサイフォンに「サイフォンの原理」は使われていません。19世紀に入り、アメリカで「バキュームポット」として特許が取得された流れでいえば、バキュームコーヒーメーカー(バキュームコーヒーポッド)と呼ぶほうが正しいかもしれませんが、現在においては「サイフォン」という呼び名で広く語られるようになりました。
サイフォンと日本
日本には、起源から約100年後の1925年(大正14年)に国産のサイフォンが開発され、1970年代以降の喫茶店最盛期に多く取り入れられました。その結果、家庭市場へもサイフォンが普及し、このような事例は世界的にも稀な日本の歩みでもあり、伴ってサイフォン抽出の技術も日本で大きく育まれたとも言われます。その後の喫茶店後退の流れとともに、サイフォンで淹れるお店を見かける機会は少なくなり、サイフォン抽出そのものを見かける機会も減っていったのです。
サイフォンの近年
近年、高品質なコーヒー「スペシャルティコーヒー」の流通等に伴い、サイフォン抽出の特性(高温・短時間抽出)が、これらのクオリティのコーヒーから豊かなフレーバーを引き出す適切な抽出方法のひとつとしてアジアを中心に再注目されるようになり、また「バリスタ」同様、サイフォン抽出のプロフェッショナル「サイフォニスト」という肩書きが誕生し、サイフォンの可能性と未来が少しずつ開かれるようになってきました。